病名と治療
変形性膝関節症とは
成人の膝の痛みは、半月板の損傷、炎症(細菌による感染、リウマチ、痛風、その他)、腫瘍の他、さまざまな原因で起こります。しかし、最も多いのは変形性膝関節症です。加齢や荷重あるいは過度な関節運動により膝関節に負担がかかり、関節軟骨がすり減る病気です。
次第に関節が変形し、関節が痛んだり動きが悪くなったりします。痛みは、立ち座り、歩き始め、階段の上り下り(特に下り)など、膝をやや曲げた状態で体重をかけるときに多いようです。進行すると膝の曲げ伸ばしが十分できないようになります。
関節の軟骨は、体重を支えて歩くときの衝撃を受け止めて和らげる役目を果たしており、長く使い過度な負担がかかるとすり減る傾向にあります。
病歴の問診、診察、エックス線撮影で診断します。O脚の程度を評価する全下肢エックス線撮影、詳しく評価するためのMRI撮影を追加することがあります。
すり減った軟骨を元に戻すことは難しいのですが、 症状を取るために以下のような治療法があります。
消炎鎮痛剤
痛み止めの飲み薬、貼り薬、塗り薬です。炎症を抑え、症状を軽減します。
電気治療
干渉波、マイクロウェーブなどの種類があります。深部への温熱、通電効果で関節周囲の循環を良くして傷んだ組織を活性化させ治療効果を得ます。
関節内への薬の注入
ステロイド剤は、強力に炎症を抑え痛みをとります。まれに、かえって骨を弱くしたり、壊したりすることがあるようです。
ヒアルロン酸の注射は、関節内に注入することにより炎症を抑えたり、関節の動きをよくしたり、軟骨の変性を抑制したりする効果があります。副作用がほとんどなく効果が高いためよく使われます。しかし、病気が進行してくると効果が少なくなります。
補装具
膝装具は筋力低下を補ったり、保温したりすることにより痛みを軽減します。
足底装具は靴の中敷を入れたり、足に着用したりして、外側が少し高くなるようにします。膝の内側にかかり過ぎる負担を和らげて、痛みを軽減します。
運動療法
理学療法士によるリハビリを受けていただいたり、下肢筋力を鍛える自主トレーニングを行ったります。(SLR訓練のシェーマ)
手術
病状の進行度、生活スタイルなどに応じて関節鏡、骨切り術、人工関節置換術を行います。